Gendarmenmarkt は、最初のプロイセン国王 Friedrich I が旧市街の西側に建設した Friedrichstadt の市場で、ここに甲騎兵連隊（Gens d'Armes）の厩舎があったために、この名が付けられたと言われている。Friedrichstadt は、最初の地図からわかるように、八角形の Leipziger Platz から東に走っている Leipziger Straße を横軸に、北の Oranienburger Tor から南の Hallesches Tor に至るきわめて長い道路 Friedrichstraße を縦軸とした、厳密な計画の元に作り上げた人工の町で、特に地図の中央左に見られるように、Gendarmenmarkt の周辺は（現在でも変わりはないが）碁盤の目のように街路が整然と並んでいる（Gendarmenmarkt は四角のブロックが3つ空いているところに当たる）。
   Gendarmenmarkt はヨーロッパで最も美しい広場と呼ばれており、最近ようやく整備が終わって、その呼び声通りの広場になっている。写真は上が西で、南北に長い形になっており、南に Deutscher Dom、中央に Konzerthaus、北に Französischer Dom が堂々たる姿で並んでいる。2つの教会は裏側が少し違うが、ほぼ同じ形をしており、ローマのポポロ広場の教会を模したと言われている。Französischer Dom は、本来 Berlin のユグノーのための教会で、1701年から05年にかけて建設され、ここには1930年以後ユグノー博物館が置かれており、Berlin と Brandenburg のフランス人共同体の歴史に関わる資料が展示されている。Deutscher Dom（右の写真）の方は改革派の信徒のために1708年に建設され、大戦中に爆撃で破壊されたが、1993年に修復が完成し、現在では〈ドイツ史の諸問題〉に関する常設的な展示場となっている。
   中央に位置する Konzerthaus（最近まで Schauspielhaus と呼ばれていた）は Friedrich Schinkel の傑作の一つで、1817年に火災で焼け落ちたプロイセン国立劇場の基礎の上に建てられたものである。現在では劇場ではなく、コンサートホールとして使われ、Berliner Orchester の本拠になっている。しかし、本来は劇場で、ウェーバーの「魔弾の射手」の初演が行われ、また、イオニア様式の円柱が並ぶ正面入口の前には、シラーの記念碑が立っている。なお、広場全体の写真の左端に少し見えるかつての Dom-Hotel、現在の Hilton Berlin の最上階からは、3つの建物の塔や屋根を見ることができるが、そこにはいくつもの彫像が並んでいて壮観である。
   3つの建物の西側の道路は Scharlottenstraße で、そのもう一つ向こうに Freidrichstraße が走っているが、この道路については別のページで詳しく取り上げることにする。ちなみに、2つの道路に挟まれた3つのブロックは地下街でつながっており、また、右上の屋上に丸い穴の開いた建物は高級デパートの Galerie Lafayette である。