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   写真はフリードリヒU世(大王)の騎馬像で、丁度 Unter den Linden の4列の菩提樹(Linde)の並木が終わった地点に建っている。右手前の建物が Staatsbibliothek、左手前が1834-37年に建てられた擬古典主義様式の Altes Palais で、皇帝 Wilhelm I のために建てられたもの。
   長さ1400m、幅60mの大通り Unter den Linden は、元来プロイセンの王宮の貴族たちが Brandenburger Tor の西側に広がっていた狩猟場(現在の Tiergarten にほぼ当たる)に出かけるための通路であったが、Berlin の町が西側に拡大してゆくにつれて、町の繁華街となり、20世紀のはじめには、カフェーなどが建ち並んで、市民の憩いの場ともなる。
   一方、大王の騎馬像が建っているあたりからは、豪壮な王宮や図書館、オペラ座などが立ち並ぶ国家権力の象徴のような様相を帯び始める。
   まず、騎馬像のところに立って、反対側を見ると、左側には Humboldt 大学が建っているが、この建物は1753年にフリードリヒ大王が弟の Heinrich 王子のために自ら設計し、建てた宮殿で、Wilhelm von Humboldt らによって1810年に創設されたベルリン大学の建物となり、1949年に彼とその弟 Alexander に敬意を表して、フンボルト大学と称するようになったものである。現在、建物の前庭には、Wilhelm と Alexander の大理石像が建っている。なお、大戦後は、東ベルリンがソビエト占領下に置かれたため、西側は1948年にベルリン自由大学を創設している。DDR 政府はこの大学を非常に重視していたが、それは、ここでかつて Karl Marx が哲学者の Hegel のもとで学んだからである。正面入口を入ると、金文字の Marx の言葉が掲げられている。「哲学者は世界をさまざまに解釈したが、重要なのはそれを変えることである。」
   この隣には、Karl Friedrich Schinkel によって建てられた、新古典主義のかつての王宮の衛兵所 Neue Wache がある。1930/31年には第一大戦の戦死者のための記念碑とされたが、1960年にはファシズムと軍国主義の犠牲者に記念碑、さらに1993年には〈戦争と暴力に支配の犠牲者〉のための連邦政府の公式の記念碑とされ、中央には Käthe Kollwitz のピエタのレプリカが置かれている。
   さらにその隣にはかつての武器庫 Zeughaus があるが、バロック様式のこの建物は現在ではドイツ歴史博物館として使用されており、また最近、裏側に増設も行われたので、かなり大きな博物館になっている。常設の展示物はもとより、特別展も興味あるものがしばしば行われている。なお、この建物は Spree 川とともにいわゆる Museumsinsel を囲っている Kupfergrabenkanal の沿岸に立っており、この岸辺では、週末に Kunstmarkt が開かれて賑わっている。
   以上の建物群の向かい側には Bebelplatz という広場があるが、ここはフリードリヒ大王が30年戦争の時代に作られた城壁(地図の内側の保塁を伴ったゴツゴツした城壁)の西側を、すでに使用に耐えなくなったために取り壊して、広場に変えたところで、そもそもはその名にちなんで、しかも古代ローマの荘厳さを模して Forum Friedericianum と名づけられていた。1933年5月10日にこの広場で、ナチの肝いりで20000冊の本が焼かれ、その記憶を絶やさないために広場の中央の地下に空の50平米の図書室を作り、敷石にガラスをはめて中が見えるようにしてある。広場の西側にはバロック様式の、正面が弓形に反った Alte Bibliothek(写真右上。Kommode とも言う。Wien の Hofburg の設計図を模して建てられたと言われているが、Hofburg 自体は19世紀末に完成したので、こちらの方がオリジナルの設計図に近い。4階建の外観を呈しているが、内部は2階建。かつては王立図書館だったが、現在では大学に属している。)、そして反対側には Staatsoper Unter den Linden が立っている。擬古典主義のこの建物は、広場の周りで最初に建てられた建築物であるが、火事で焼け落ちたり、第二次世界大戦で完全に破壊された後、1952年から53年にかけて修復が行われた。Berlin には Deutsche Oper をはじめとして、いくつものオペラ座があるが、最近ではこのオペラ座の評判がきわめて高くなっている。さらに広場の南側には、壮大な丸屋根の載った St.-Helwigs-Kathedrale が立っており、Berlinのカトリックの司教座が置かれている。