上記のクラップフェンは謝肉祭の菓子、ベルリーナーは正月を迎えるための菓子であるが、同じ正月用の菓子に次のものがある。
クリスマス用の菓子も多くあるがその代表と言えるものは次の二つである。
(Lebkuchen)
小麦粉、蜂蜜、卵にシナモン、丁字、ナツメグなどの香料を混ぜて焼き上げたものに、チョコレートや粉砂糖を塗るかまぶした5センチほどの丸い菓子。童話の家やサンタクロース、クリスマス・ツリーなど様々な形をしたものもある。ニュルンベルクが本場だが、これはこの町が中世の交易の中心地の一つであったために様々な香料が手に入ったこと、また養蜂の中心地に近かったことなどによる。蜂蜜入りの菓子(Honigkuchen)も有名で、今では全国で作られて親しまれている。
なお、かなり大きな板状のレープクーヘン、あるいは似たような方法で作ったプフェッファークーヘン(Pfefferkuchen)を材料にしてアイシングで接着して作る菓子の家(← Lebkuchen Häuschen)もクリスマスの子供の楽しみの一つである。
クリスト・シュトレン(Stollen)
ラム酒づけにしたドライフルーツを少し発酵させたイースト生地に混ぜ込んだ長楕円形の大きなケーキで、焼き上げた後、表面にバターを塗ってヴァニラ入り砂糖をまぶし、冷ました後たっぷり粉糖をかける。12月にはどの町の菓子屋でも売り出されるが、日持ちがし、焼きたてより時間がたった方がうまい。味にはかなり差があり、本場のドレスデンのものが美味しいが(Dresdner Christstollenと言う)、これも本家争いが激しく、ドレスデンのものがすべて美味しいとは限らない。ちなみにシュトレンは白い布にくるまれた幼子キリストを型取ったものである。
なお、復活祭にもウサギの形をしたクッキーのオースターハーゼ(Osterhase)やチョコレートを使ったオースターアイアー(Ostereier)が菓子屋に並べられ、また1月6日の東方の三博士の日(Dreikoenige)には干し葡萄入りのケーニヒスクーヘン(Königskuchen)を焼く習慣など、祝祭日ごとに独特のケーキやクッキーが焼かれる。