2)コルン(Korn)
コルンは本来穀物の意味で、さまざまな穀物で作ったドイツ独特の無色透明の蒸留酒。法律で32度のものを単にコルン、38度以上のものをドッペルコルン(Doppelkorn)として区別されている。シュレースヴィッヒ・ホルシュタインのオルデスロー(Oldesroe)銘柄が最も有名で原料は小麦。
3) ジン
オランダの医師が薬酒として開発した、ジュニパー・ベリーをアルコールに浸けて蒸留した酒で、フランス語のgenievreがイギリスで縮まってginとなった。ドイツにも大麦やライ麦、あるいは小麦とジュニパー・ベリーを発酵させて蒸留したり、あるいは両者を別々に発酵させて蒸留し、ブレンドしたもの等がある。特にウェストファーレン地方のシュタインハーゲン特産のものをシュタインヘーガー(Steinhäger)という。
4) 薬草酒
有名なのは20mlの小瓶で売られているウンダーベルク(Underberg)で、世界中から集めた何十種類もの薬草を高濃度のアルコールで抽出したもの。19世紀半ばから作られている。これ以外にも、上記のコルンにキャラウェイを配合して作ったキュンメルやアニス、ミント、リンドウの根、蜂蜜などを主原料としたイェーガーマイスター(Jägermeister)、あるいはジャガイモを原料とした蒸留酒に様々な薬草の風味を加えたものなど、種類が多い。
5) 果実酒
ドイツにも果実を原料とした蒸留酒やリキュール(蒸留酒の香味成分を配合したもの)には様々なものがあるが、特に有名なのはサクランボの蒸留酒であるキルシュヴァッサー(Kirschwasser)であり、ケーキ作りなどにも使われる。南欧のようにレモンやオレンジを使うことはないが、洋梨や杏子や桃、ラズベリーなどの野いちごを使った蒸留酒、あるいはコルンやブランデーなどの蒸留酒にこうした果実を漬け込んで作ったリキュールなどが豊富にある。