スープ(シチュー)類

 ドイツのスープ(Suppe)は実が多く、パンを添えればこれだけで主食になる。北部では魚も入るが、主なスープはやはり肉入りの野菜スープである。

 最も一般的で簡単なアイントップ(Eintopf)は学生食堂の最も安い食べ物で、主婦にとっても最も手の掛からない料理だが、名前のアイントップ(一つの鍋)が示すように、刻んだベーコンや肉(あるいはソーセージ)、野菜、クネーデル、ジャガイモ、米などを刻んで入れ、ゆっくり煮込むだけのものである。


 最も一般的な野菜スープはジャガイモ・スープ、豆のスープ、タマネギ・スープである。これらも地方によって異なり、それぞれ特色があるが、例えばシュヴァルツヴァルト風ジャガイモスープ(Schwarzwälder Kartoffelsuppe)は、スープで柔らかく煮て裏ごししたジャガイモにみじん切りにしてバターで炒めた野菜を加え、生クリームと塩、胡椒で味付けしたもので、地方によってはベーコンやタマネギを加える。

 豆のスープもグリンピース、白いんげん、レンズ豆のスープなど様々あり、これも地方によって異なるが、例えばレンズ豆のスープ(Linsensuppe)は沸騰した湯にレンズ豆、ベーコン、西洋ネギ、ニンジン、パースニップ、セロリなどを加え、弱火でゆっくり煮る。次にベーコンを炒め、そこにみじん切りのタマネギを入れてタマネギが狐色になるまで弱火でゆっくり炒める。これに小麦粉を振り、小麦粉が少し焦げるまで炒めたところにスープを注いで泡立て器でとろみがつくまでゆっくりかき回しながら煮る。好みで酢を少々加えることもあるが、これをさらに蓋をして30分ほど弱火でゆっくり煮て、最後に賽の目にしたベーコンと薄切りにしたソーセージを加えて再び2、3分暖め、塩、胡椒で味加減をする。簡単なようだが、かなり神経を使う。