JAPANESE EDITIONS日本独自編集のアルバムザ・ビートルズが日本でデビューするにあたっては英国オリジナル・アルバムではなく、 我が国独自の編集によるアルバムが公式発売されていた。(日本でのデビュー盤、2枚目が 日本独自編集、英国オリジナル・アルバムを2枚はさんで5枚目が独自編集) 現在ではむろん公式カタログには存在しないものの、当時の日本のビートルズ・ファンに はビートルズ唯一の公式アルバム・ラインアップとして親しまれてきたものだ。ビートル ズ解散後の1976年、東芝EMIが「EAS〜」のカタログ・ナンバー(通称国旗帯)で英国本国盤 、米国編集盤、日本編集盤のすべてのラインアップをいっせいにリニューアル発売。 英国オリジナルの"PLEASE PLEASE ME"、"WITH THE BEATLES"も登場し、この時点で日本の ファンは英国本国盤、米国編集盤、日本編集盤すべてを手にできる大変贅沢な境遇に置か れたわけだ。 店主も、英国オリジナル盤以上に日本編集盤を愛していたファンのひとりだ。特に日本で のデビューアルバムとなった「ビートルズ!」はデビュー・アルバムであると同時に初期 のベスト・ヒット的な趣もあり、ロックのレコードがほとんどステレオでの制作に移行し 終わった時代、ワイルドで分厚いモノラル・サウンドの心地よさもあって愛聴した。 今回はビートルズの活動初期に日本独自編集で発売されたアルバム3枚と、オリジナル・ア ルバムに手を加えて発売された2枚、さらにジャケットのみまったくオリジナルに製作した もの1枚の合計6枚をご紹介します。(レコードNo.はいずれも初回盤のNo.) |
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ビートルズ! (MEET THE BEATLES) 1964.04.05 東芝音楽工業 Odeon OR-7041(MONO only) 記念すべき日本でのファースト・アルバム。 英国盤"PLEASE PLEASE ME"から5曲、"WITH THE BEATLES"から5曲、シングル・ヒット4曲の 計14曲から構成されており、モノラルのみで発売された本作はダンゴ状にうなる太いサウ ンドが実に魅力的。 特にオープニングに据えられた「抱きしめたい」の、歌いだし直前のアンサンブルの盛り 上がり具合は後に公式バージョンとなるステレオ・ヴァージョンでは味わえない。 公式CDにはならなかった日本編集盤だが、このアルバムは初期のベストヒットとも言える 内容で、マニアに大人気の1枚だ。 |
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ビートルズNo.2 (THE BEATLES SECOND ALBUM) 1964.06.05 東芝音楽工業 Odeon OR-7058(MONO only) デビュー盤からわずか2ヵ月のインターバルでたたみ掛けるように発売された日本2作目。 前作で、既発シングルを含めた代表曲のかなりの部分を使い切ってしまった感があった が、当時日本で大ヒットしていた「キャント・バイ・ミー・ラブ」をオープニングに据え てそれなりの体裁が整った。 "PLEASE PLEASE ME"から5曲、"WITH THE BEATLES"から7曲、シングル曲2曲で構成。 |
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ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア! (A HARD DAY'S NIGHT) 1964.09.05 東芝音楽工業 Odeon OP-7123(STEREO) 英国3枚目の"A HARD DAY'S NIGHT"をジャケットのみ日本オリジナルに差し替えて発表され た日本での3枚目。 (写真はApple AP-8147) オリジナル編集ではないが、日本でひと手間加えたという意味でここで取り上げてみた。 |
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ビートルズNo.5 (BEATLES NO.5) 1965.05.05 東芝音楽工業 Odeon OR-7103(MONO only) 間に「ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!(A HARD DAY'S NIGHT)」「ビー トルズ'65("BEATLES FOR SALE")」をはさんで発表された日本独自編集による5枚目。 ジャケットは米版"BEATLES '65"のデザインをそのまま流用しているが、内容はかなり強 引な寄せ集めの1枚。 英盤"PLEASE PLEASE ME"から3曲、"WITH THE BEATLES"から2曲、日本盤EP"LONG TALL SALLY" の収録曲4曲、ドイツ語版2曲、既発シングル3曲の計4曲という構成で、当時の最新ヒット だった"I FEEL FINE"が目玉。 |
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ステレオ!これがビートルズ vol.1 (PLEASE PLEASE ME) 1966.05.25 東芝音楽工業 Odeon OP-7548(STEREO) 1966年6月のビートルズ初来日に合わせて企画・編集された来日記念盤。 オリジナルは英国デビュー盤"PLEASE PLEASE ME"だが、収録曲順を大幅に入れ替え、A、B 面トップに日本で人気のあった曲を据えて、ジャケットもまったく違う写真に差し替えら れた。 当時まだモノラル音源でしか聴けなかった"PLEASE PLEASE ME"収録曲が、リアル・ステレ オ・ヴァージョンで聴けるということで人気を呼んだ。 |
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ステレオ!これがビートルズ vol.2 (WITH THE BEATLES) 1966.05.30 東芝音楽工業 Odeon OP-7549(STEREO) こちらも初来日に合わせて企画・編集された来日記念盤。 英国デビュー盤"WITH THE BEATLES"の収録曲順を大幅に入れ替え、A、B面トップに日本で 人気のあった曲を据えて、ジャケットもまったく違う写真に差し替えられた。 "PLEASE PLEASE ME"同様、当時まだモノラル音源でしか聴けなかった"WITH〜"収録曲が、 リアル・ステレオ・ヴァージョンで聴ける。 |
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今でも、ビートルズを聴きたい時にはほとんどCDは使わない。 アナログ・レコードをターンテーブルに乗せることの方が圧倒的に多い。 その中でも、モノラルの東芝盤は格別に味わい深いものがある。 なんといっても「雰囲気」があるのだ。 店主がはじめて買ったLPは国旗帯の「4人はアイドル」だったが、いちばん多く聴いたの はおそらく「ビートルズ!」だったように思う。 このレコードをはじめて買って聴いたときの高揚感は鮮明に覚えている。 A面の1〜4曲目で完全にノックアウトされた記憶がある。 今でもここに挙げた日本編集盤は「味わいたい」気持ちになったときに必ずラックから引 っ張り出してくるレコードたちだ。 | |
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