Apple Records

1968年4月、ビートルズ&カンパニーの組織を発展させる形でアップル・コープスが設立されました。ポール・マッカートニーをはじめとするビートルズはキャピトルレコードに対しても、すべてのビートルズ関連のレコードをアップル・レーベルでリリースすることを約束させ、以降ビートルズの作品のほか、アップルが独自に発掘したアーティストたちの作品がこのリンゴのマークのレーベルで世に出ることとなりました。
ビートルズの作品としては68年8月26日にリリースされたシングル"HEY JUDE"が初のアップル作品。68年11月22日にリリースされた初の2枚組超大作"THE BEATLES"がアップル・レーベル最初のビートルズのアルバムということになります。
アップル・レーベルはこの年以降に発表されたオリジナル・アルバムで世界標準として使用されたほか、70年代以降は米国盤、日本盤をはじめとする各国盤の再リリースに関しても使用されましたが、ご存知のとおりビートルズのメンバー、アップルのスタッフ、アラン・クレインその他大勢を巻き込んだ裁判は泥沼化し、EMIとビートルズの契約が切れた1976年にアップル・コープスは事実上消滅。アップルのレーベル、マークも一時封印されます。
しかし、長い沈黙の後80年代にようやく裁判にも決着がつき、まず88年にはTV映画MAGICAL MYSTERY TOURのソフト化にあたってリンゴのマークが復活。91年にはビートルズ以外のアップル作品の再発が始まり、94年には久々のビートルズの新譜"LIVE AT THE BBC!"をアップル・レーベルでリリース。
そして歴史に残る「アンソロジー・プロジェクト」が陽の目を見るのでした。
このアップル・レーベルにも時期や国によって様々なデザインの相違がありました。代表的なところをご紹介します。

Apple Label





THE BEATLES
(U.K. MONO PMC 7067-8、U.K. STEREO PCS 7067-8)

U.K.アップルの基本スペックは
@"An E.M.I. Recording"が左側
A回転数表示はシンプルに33 1/3が左側
Bその下に"Mfd. In U.K."
C"Produced by George Martin"
といったところが挙げられますが、当然のことながらレコードによりまたプレス時期により異なる点が多々出てきます。

最初にご紹介するのは、オークションでも常に高値をつける「ホワイト・アルバム」のモノラル初版。
こちらには"An E.M.I. Recording"がありません。
このクレジットがないものはホワイトアルバムのモノラル盤のごく初期のプレスのみでしかみられません。
U.K.オリジナル盤のレーベルは、やや黄味がかった暗めの色調、俗に言う「ダーク・グリーン・アップル」です。
U.K.盤の曲名表記には、曲のアタマに曲順NO.がついているものといないものがありますが、このホワイト・アルバムにはNo.がついていません。
これはおそらく曲数によるものだと思われます。
曲数が多い場合には、少しでもスペースを多くとりたいですからね。

直接の比較にはなりませんが、80年代にメタル・マスターからのダイレクト・カットでリ・イシューされたU.K.盤のレーベルは、リンゴの色合いが明るくなった「ブライト(ライト)・グリーン・アップル」です。
特徴としてはタイトル、曲目リストほかのフォントが太くなっていることが挙げられます。



YELLOW SUBMARINE
(U.K. MONO PMC 7070、TOSHIBA EAS-80559)

U.K.アップルの基本スペックは
@"An E.M.I. Recording"が左側
A回転数表示はシンプルに33 1/3が左側
Bその下に"Mfd. In U.K."
C"Produced by George Martin"
といったところが挙げられますが、当然のことながらレコードによりまたプレス時期により異なる点が多々出てきます。(オークションで常に高値をつける「ホワイト・アルバム」の初版には"An E.M.I. Recording"がありません)
また日本をはじめ他国で生産されたものは、同じアップル・レーベルと言ってもそれぞれ微妙に(または大胆に)違うデザインになります。
最初にご紹介するのはYELLOW SUBMARINEのU.K.盤と東芝盤です。

色味はU.K.盤の方がやや黄味がかった暗めの色調、俗に言う「ダーク・グリーン・アップル」です。
U.K.盤には左側に"Mfd. In U.K."のクレジットが入り、日本盤にはMFD. BY TOSHIBA MUSICAL INDUSTRYS〜がレーベル下部に入ります。
U.K.盤には"An E.M.I. Recording"のクレジットが入りますが、日本盤にはなし。
タイトル、盤面表記、曲目リストとも日本盤の方がフォントが大きめです。

ABBEY ROAD (U.K. STEREO PCS-7088)

鮮やかなグリーンの色調だけを落としたような色合いの、通称「ダーク・グリーン・アップル」です。
アップル・レーベルではリム・コピーはグリーンの筆記体で書かれています。(上部は著作権、下部は警告文)
"STEREO"表記、レコードNo.表記はやや縦長の細身のフォントでレーベル右側に置かれています。
このアルバムでは曲のアタマに番号が付いていません。これはおそらくSide-2の曲数が多くて番号を入れるスペースがなく、Side-1もそれに合わせて番号を省いたものと思われます。
U.K.盤のレーベルでは、曲名は多くの場合リンゴのシルエットに合わせて配置するので、下へ行くほどすぼまるように書かれています。
曲名の下に"THE BEATLES"のネームが入り、その下に"Produced by George Martin"のクレジットがあります。
ABBEY ROAD (U.K. STEREO PCS-7088 Re-issue)

80年代にメタル・マスターからのダイレクト・カットでリ・イシューされた"ABBEY ROAD"のU.K.盤のレーベル。
リンゴの色合いが明るくなった「ブライト(ライト)・グリーン・アップル」ですが、主な特徴としてタイトル、曲目リストほかのフォントが太くなっていること、リム・コピーの文字も大きく長くなって外周全体に渡っていることが挙げられます。
のみならず、このリム・コピーの色もリンゴの色に合わせてやけに明るくなっているため、なんとなく目障りな印象です。
ABBEY ROAD (U.S. STEREO SO-383)

こちらはU.S.アップル盤ABBEY ROAD
リンゴとバックともU.K.盤よりやや黄味がかった印象です。
下のU.S.盤LET IT BEではSIDE ONEになっている盤面表記が、このABBEY ROADではU.K.盤と同じSIDE 1になっているあたりを見ると、あまりしっかりした決まりはないようです。
字間の開いた独特のSTEREO
このU.S.盤の曲名にはちゃんとアタマに番号があり、左揃えで表記されています。

LET IT BE (U.K. STEREO PCS-7096)

LET IT BEのU.K.セカンド・プレス。
上のABBEY ROADオリジナルと同じデザインですが、曲名の前にNo.があります。
プロデューサーであるフィル・スペクターのクレジットはありません。
LET IT BE (U.S. STEREO AR-34001)

こちらはLET IT BEのU.S.オリジナル盤「レッド・アップル」

色以外でのU.K.盤とU.S.盤との大きな違いは

@U.S.盤にはリム・コピーがなく、底辺に"MFD. BY APPLE 〜"の1行だけがさらっと書いてある
ASTEREO表記と盤面表記の配置が逆
B盤面表記はU.K.盤がSIDE 1、U.S.盤がSIDE ONE
C"THE BEATLES"の表記はU.K.盤がレーベル最下部、U.S.盤がタイトル下
Dフィル・スペクターのクレジットはU.S.盤のみ
E曲目リストはU.K.盤はアタマに番号つきでリンゴに輪郭に沿って配置、U.S.盤はアタマ番号なしで左揃え
F"Recorded In England"の表記はU.S.盤のみ、U.K.盤には左側に"Mfd. In U.K."のクレジット
といったところです。
LET IT BE (TOSHIBA STEREO AP-80189)

私たちが最も多く目にしたであろう、東芝国内盤のアップルレーベル。
カタログNo.AP〜(グリーンの帯がついていたもの)、EAS〜(国旗帯がついていたもの)の時代を通じて長く使用されたデザインです。
リンゴは「ブライト(ライト)・グリーン・アップル」で、レイアウトは基本的にU.K.オリジナルスタイルを踏襲していますが、このAP-80189に関しては、盤面表記の数字が大きいことと、リンゴのサイズがやや小さめでリム周辺の余白が広めに取ってあるのが特徴です。
また、レーベル下部にMFD. BY TOSHIBA MUSICAL INDUSTRYS〜(のちにTOSHIBA EMI〜)のクレジットが入ります。

HEY JUDE (U.S. SW-385)

タイトルとレコードNo.がジャケットとレーベル面で異なるU.S.初版のHEY JUDE
上のLET IT BE「レッド・アップル」とおなじく左にSTEREO表記、右にレコードNo.と盤面表記の配置ですが、盤面表記はSIDE 1と数字を使ったものに代わっています。
MAGICAL MYSTERY TOURをシングル曲5曲と合わせて独自編集でリリースした際に、そのデリカシーの感じられない、ケバケバなジャケットデザインが悪評を呼んだ米国キャピトルですが、ことアップルレーベルに関しては、ごちゃごちゃしたコピーのないこのU.S.スタイルはいいですね。
曲目はやはり左揃えですが、なぜか"CAN'T BUY ME LOVE"だけがタイトルの上に乗っかって、左揃えになっていません。
"Produced by George Martin""Recorded In England"とも曲目リストの下にあります。
HEY JUDE (TOSHIBA AP-8940)

これは日本盤のHEY JUDE
上のLET IT BEの東芝盤に比べて盤面表記の数字が小さく、U.K.オリジナル・アップルに近いものになっています。
また、LET IT BE東芝盤にあった盤面表記下の"An E.M.I. Recording"のクレジットもありません。

THE BEATLES STORY (U.S. STEREO STBO-2222)

究極のシンプル。
THE BEATLES STORYの70年代キャピトル・リ・イシュー盤です。
STEREO表記はStereoと大文字小文字ミックスになり、盤面表記、レコードNo.とまとめて右サイドに移動。
このほかは、タイトルと曲名(この場合は「曲」じゃありませんが)、トータルのランニングタイム以外はなにも載せてありません。

Sgt. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND
(U.S. STEREO SMAS-2653)

同じスタイルのSgt. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND70'sリ・イシュー盤。
こちらにはレーベル下部に"Produced In England by George Martin"のクレジットが見えます。
このあたりの表記の仕方も結構よく変わりますね。
Stereoは大文字小文字ミックス。
曲名リストは中央ぞろえに変わりました。
曲名が長いので左揃えだとバラけて座りが悪いからでしょうかね。

THE BEATLES 1962-1966 (TOSHIBA EAS-50021-22)
THE BEATLES 1967-1970 (TOSHIBA EAS-50023-24)

バックを赤、青にしたレーベル。初版はレコードも赤、青のカラー・ヴィニルでした。
アップル・レーベルのいちばんの特色である筆記体のリム・コピーはなく、MFD. BY TOSHIBA MUSICAL INDUSTRYS〜と一体化して小さな活字でリム下半分に載せられています。

MICHELLE/GIRL/NOWHERE MAN/WHAT GOES ON
(TOSHIBA AP-4160)

LONG TALL SALLY/MATCHBOX/I FEEL FINE/SLOW DOWN
(TOSHIBA AP-4055)

東芝のカタログNo.AP-のEP盤。
上のMICHELLEはダーク・アップルで、スピンドルホール下に"APPLE COMPACT"を配し、"STEREO"表記は右側にあります。 下のLONG TALL SALLYはブライト・アップルで"33 STEREO COMPACT"のシリーズ名がリンゴのへたの下に位置し、したがって右側の"STEREO"表記はなくなっています。グループ名も1行でまとめているものと2行にわたっているものとの違いがあります。
同じカタログNo.でも結構違いがあるものですね。
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