Parlophone Records 1

まずはビートルズの祖国イギリスのパーロフォン・レーベルをご紹介します。
パーロフォン・レコードは、1896年にドイツのカール・リンドストローム・カンパニーが発足させたレコード・レーベルでしたが、1927年に英コロンビア・グラモフォンに買収され、1931年のEMIレコード設立にともなってEMI傘下のレコード・レーベルとなりました。
ザ・ビートルズ登場以前のパーロフォン・レコードは当初ジャズ・レーベルとして活動していましたが、その後コメディやナレーション等の企画モノに進出。ピーター・セラーズスパイク・マリガンなどを擁してマニア向けの人気を博していきます。
デッカ・レコードのオーディションに落ち、次なるチャンスを求めて駆けずり回るビートルズの4人とブライアン・エプスタインが、パーロフォン・レコードの専属プロデューサー/エンジニアで、お笑い路線から脱却し、他のレーベルのように売れ筋のロック・バンドを擁してひと花咲かせたいと願っていたジョージ・マーティンと出会ったのが1962年6月。ここから華々しいパーロフォン&ビートルズの快進撃が始まったのです。
ビートルズのレコードにおけるパーロフォン・レーベルは、まずデビュー・アルバムPLEASE PLEASE MEの初版で、黒字に金文字の通称「ゴールド&ブラック・パーロフォン」(あるいはゴールド・パーロフォン)と呼ばれるデザインが使用され、63年秋からは黒字に黄色い文字の「イエロー&ブラック・パーロフォン」に代替わりします。さらに時期が進んで69年からはブラック・グレーの地に銀色の文字をあしらった「シルバー&ブラック・パーロフォン」が登場します。
まずは文字通りビートルズ・オリジナル・レコードである「ゴールド」「イエロー」のパーロフォン・レーベルをご紹介します。

Gold & Black Parlophone Label

PLEASE PLEASE ME (MONO PMC 1202)

英国デビュー・アルバムPLEASE PLEASE MEのオリジナル・ゴールド・パーロフォン・レーベルです。
非常にクラシックかつ重厚なデザインのG.P.レーベルは、現在でもマニアの羨望の的です。
最近やっと入手したゴールドは、McCartney-Lennon(1stアルバムのみ、2人の順序が逆になっています)作品の版権表記が"Dick James Mus. Co."になっている、より初版に近いプレスのものです。
ブライアン・エプスタインがビートルズの楽曲を管理する目的で音楽出版社NORTHERN SONGSを設立したのが1963年2月。1stアルバムが発売される約1ヶ月前のことです。 最終的にすべての曲の出版権は無事にNORTHERN SONGSに譲渡されるのですが、PLEASE PLEASE MEの発売には間に合わず、初版のクレジットは"Dick James Mus. Co."で作らざるを得ませんでした。
その後、すべての楽曲のクレジットがNORTHERN SONGSに改定されたプレスが出回るようになりましたが、結局パーロフォン・レーベルは63年秋ごろまでに次のイエロー・パーロフォンに代替わりしてしまうので、NORTHERN SONGSクレジットのゴールドは非常に希少価値が高いそうです。(まだ手に入れてません、ハイ。)

デザインの特徴としては、中央に位置した3D仕様のPARLOPHONEロゴと、リム上部に配置されたLONG PLAYINGが飾りフォント系ですが、その他レコードNo.、曲名クレジットの文字はこの後登場するイエロー・パーロフォンと共通のフォントがすでに使われています。
LONG PLAYINGの両脇に添えられた4連×2の星印が時代がかった雰囲気をかもし出しています。
製造場所表記は、ビートルズ現役時代に一貫して使われた"MADE IN GT. BRITAIN"ですが、以降イエロー・パーロフォン時代には"GT. BRITAIN""GT"の部分の"T"は小文字の"t"になります。
リム下半分に配置された著作権コピー(以下リム・コピー)は大文字、小文字併用、"The Parlophone Co. Ltd.・All Rights〜"の書き出しで始まります。
リリース年の表記("RECORDING FIRST PUBLISHED 1963"など)はありません。

Matrix No.
 :XEX 421-1N(Side-1)、XEX 422-1N(Side-2)
Mother No. :2
Stamper code :GO(Side-1)、H(Side-2)
Tax code :MT

Yellow & Black Parlophone Label

PLEASE PLEASE ME (MONO PMC 1202)

63年後半から、上のゴールド・パーロフォンに代わって採用され、その後ビートルズの代名詞ともいえる存在となったイエロー・パーロフォン・レーベル
これはデビュー・アルバムPLEASE PLEASE MEのイエロー・パーロフォン・レーベルです。

中央のPARLOPHPNEロゴは飾りのない鮮やかな黄色のフォントに代わり、LONG PLAYINGの代わりに33 1/3 R.P.M.の表記が使用されるようになります。
"MADE IN Gt. BRITAIN"表記の"Gtの部分の"t"は小文字になっています。
イエロー・パーロフォンになってからリリース年の表記が入るようになりますが、この1stアルバムの段階ではまだマルにPマークではなく
"RECORDING FIRST PUBLISHED 1963"と文章記載。また、リム・コピーは"THE PARLOPHONE CO. LTD.〜"とすべて大文字に代りました。

Matrix No.
 :XEX 421-1N(Side-1)、XEX 422-1N(Side-2)
Mother No. :1 5(Side-1)、4 5(Side-2)
Stamper code :GGP(Side-1)、GDT(Side-2)
Tax code :MKT

WITH THE BEATLES (MONO PMC 1206)

2ndアルバムWITH THE BEATLES

デザイン、表記方法に大きな変化はなく、"THE PARLOPHONE CO.LTD〜"で始まるリム・コピー、"RECORDING FIRST PUBLISHED 1963"のリリース年のクレジットも上のPLEASE PLEASE MEと共通です。

Tax codeはSide-1スピンドル・ホールを中心に9時の位置にM、6時の位置にKが見えますので、MKTであるはずなのですが、3時の位置にあるはずのTはほとんど判別不能です。

Matrix No.
 :XEX 447-5N(Side-1)、XEX 448-5N(Side-2)
Mother No. :7(Side-1)、2(Side-2)
Stamper code :PT(Side-1)、PP(Side-2)
Tax code :MKT

A HARD DAY'S NIGHT (MONO PMC 1230)

3rdアルバムA HARD DAY'S NIGHTからは、"SOLD IN U.K. SUBJECT TO RESALE CONDITIONS, SEE PRICE LISTS"という、再販規定に関するコピー(いわゆるセントラル・リマーク)がPARLOPHONEロゴとスピンドル・ホールの間に配置されるようになります。

私の所有している盤は状態は決して良くはありませんが、レコードNo.の文字が他のレコード(他のプレス)のものよりも幅・字間とも広いアーリー・プレスで、マトリクスもXEX 481-3N(Side-1)XEX 482-3N(Side-2)と1stプレスであることがわかります。

もうひとつ大きな特徴としては、このアルバムでは初めて収録曲のすべてがLennon-McCartney作品で占められたこともあり、従来1曲ごとに曲の末尾に記載されていた作曲者クレジット、曲の版権クレジットは各面まとめて全曲目リストの末尾に1回登場するだけになりました。

Matrix No.
 :XEX 481-3N(Side-1)、XEX 482-3N(Side-2)
Mother No. :1(Side-1)、3(Side-2)
Stamper code :GRT(Side-1)、GDR(Side-2)
Tax code :MT

BEATLES FOR SALE (MONO PMC 1240)

4thアルバムBEATLES FOR SALE
大きな変化はありませんが、このアルバムではオリジナル以外の曲も収録しているため、曲ごとの版権クレジットが曲ごとに付記されるスタイルに戻っています。
スピンドル・ホールの上にセントラル・リマークがあります。

私の所有はマトリクスがXEX 504-3N、XEX 503-4Nとなっていますので、おそらく2ndプレスと思われます。

Matrix No.
 :XEX 504-3N(Side-1)、XEX 503-4N(Side-2)
Mother No. :2 8(Side-1)、2(Side-2)
Stamper code :GAO(Side-1)、TL(Side-2)
Tax code :KT

HELP! (MONO PMC 1255)

5thアルバムHELP!でいくつかの変更点が出てきます。
まずリリース年の表記がマルにPマークのシンプルなものに代わりました。
さらに従来はセントラル・リマーク、曲名表記などの文字がシンプルなフォントであったのが、飾り文字風のフォントを使ったレーベルも登場します。(従来のシンプルなフォントも存在するので、プレスされた場所等による違いであろうと思われます)

私の所有している盤はマトリクスがXEX 549-2XEX 550-2の1stプレス。(HELP!の1stプレスは末尾のNo.が2
さらにリムズ・コピーはこのアルバムから、従来の
"THE PARLOPHONE CO. LTD.〜"に代わって
"THE GRAMOPHONE CO. LTD.〜"と表記されるようになります。

Matrix No.
 :XEX 549-2(Side-1)、XEX 550-2(Side-2)
Mother No. :2(Side-1)、1(Side-2)
Stamper code :O(Side-1)、HM(Side-2)
Tax code :KT

RUBBER SOUL (MONO PMC 1267)

6thアルバムRUBBER SOULでは目立った変更はありません。
レーベルの文字すべてが従来タイプのシンプルなフォントで表記されたタイプです。
マトリクスの末尾はSide-1、Side-2とも4で、これは3rdプレスです。

版権クレジットはLennon-McCartneyのみ最後にまとめて、HarrisonほかLennon-McCartney以外については曲名に付記されています。

Matrix No.
 :XEX 579-4(Side-1)、XEX 580-4(Side-2)
Mother No. :11(Side-1)、?(Side-2)
Stamper code :AGM(MGA?)(Side-1)、RAT(Side-2)
Tax code :KT

REVOLVER (MONO PMC 7009)

7thアルバムREVOLVER
マトリクスの末尾が両サイドとも2の2ndプレスです。
上のHELP!と同じく、曲名が飾りフォントになったタイプ。
このアルバムの2ndプレスと3rdプレスは、Side-2の4曲目の曲名表示が"DR. ROBERT"のものと"DOCTOR. ROBERT"のものが両方存在するそうです。

また、このアルバムでは初めてレーベルにリード・シンガーがクレジットされるようになり、作曲者クレジットの前にメイン・ヴォーカルを担当するメンバーの名前が入っていますが、これもリード・シンガーの名前が先に来るものと、作曲者クレジットが先に来るものの2種類があるそうです。

Matrix No.
 :XEX 605-2(Side-1)、XEX 606-2(Side-2)
Mother No. :1(Side-1)、4(Side-2)
Stamper code :RPA(Side-1)、RDP(Side-2)
Tax code :KT

THE COLLECTION OF BEATLES OLDIES
(MONO PMC 7016)

66年にリリースされた、ビートルズ初のシングル・ヒット・コレクションOLDIES
ベスト・アルバムであるため収録曲のリリース年にはばらつきがあり、()つきのアルファベットで対応させています。
こちらもセントラル・リマーク、曲名、リリース年が飾りフォントで、アルバム・タイトル、リム・コピーはシンプルなフォントになっています。

Matrix No.
 :XEX 619-1G(Side-1)、XEX 620-1G(Side-2)
Mother No. :3(Side-1)、1(Side-2)
Stamper code :GT(Side-1)、RD(Side-2)
Tax code :KT

Sgt. PEPPERS' LONELY HEARTS CLUB BAND
(MONO PMC 7027)

67年にリリースされた、ビートルズ史上最高傑作と誉れ高いSgt. PEPPERS' LONELY HEARTS CLUB BAND・・・、ですが、レーベルの面から言うと特筆すべき変化はありません。
しかし、アルバムに関しては次回作"THE BEATLES"からいよいよアップル・レーベルの登場となりますので、このSgt. PEPPERS'がオリジナル(初版)でイエロー・パーロフォンを冠した最後のアルバムということになります。(リ・イシューに関しては次の項で触れる「シルバー・パーロフォン」に代替わりします)

Matrix No.
 :XEX 637-1(Side-1)、XEX 638-1(Side-2)
Mother No. :4(Side-1)、2(Side-2)
Stamper code :ADD(Side-1)、ATM(Side-2)
Tax code :KT
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