Various Review Vol.11

WOMAN FROM TOKYO 「ウーマン・フロム・トーキョー」 C.C.ガールズ
"WOMAN FROM TOKYO" C.C.GIRLS

1993年7月25日発表作品
ワーナー・ミュ−ジック・ジャパン WPCL-786

1.セクシーバス・ストップ
2.世界で一番せつない夜に(林 哲司&C.C.ガールズ)
3.アンクレット
4.せめて愛を眠らせて
5.愛のためなら仕方ない
6.Tokyoちょっといい娘
7.夏を知らないふたり
8.星屑・愚図GUZUひとりきり
9.STING
10.エピキュリアン・ブルー
11.涙なしじゃ言えない

'90年10月に行われた「第1回日本美人大賞」に、 青田典子(1967年10月7日、愛知県出身)、 藤森夕子(1968年12月12日、東京都出身)、 原田典子(1970年1月8日、石川県出身)、 藤原理恵(1970年2月5日、岡山県出身) の4人で参加、見事に準グランプリを獲得し、C.C.ガールズとしてデビュー。
JR東日本や太陽石油のCMをはじめ、ビデオ、映画、歌と幅広く活動し、同じオスカー・プ ロモーション所属で同時期にデビューしたシェイプUPガールズや、もっとお下劣なT-BUCKS 等、同じコンセプトのセクシー・アイドル・グループの中で頭ひとつ抜けた存在であった。
このグループを、映像作品ではなく「音源」として紹介することに違和感をお持ちになる 方もいらっしゃるかも知れない。
しかし、彼女たちは単なるお色気グループでは決してない。(ここ強調)
他のグループとの差別化を図るため音楽活動の充実ぶりはすばらしく、チャート上位に 食い込むような作品は皆無だったものの、彼女たちは第1期メンバーの時代だけで7枚のア ルバム、11枚のシングルを発表し「セクシーなだけではない」ところを積極的にアピール 。
新曲が出るたびに合わせて発表されたプロモーション・ビデオではダンスも達者なところ を見せていた。
今回ご紹介するアルバム「ウーマン・フロム・トーキョー」はデビュー当初、音楽活動の み"D.D.GAPS"なる変名で行っていた彼女たちが、すべての活動をC.C.ガールズ名義に統一 して初めてリリースしたアルバムである。
浅野ゆう子もヒットさせた1.は、軽快で涼やかなアレンジをバックに4人が可愛らしい声を 強調してキュートに歌い上げる。
林 哲司との共演2.では打って変わって荘厳なアレンジとセクシーなコーラス・ワーク で聴かせる。
3.はJazzyなリズムに切ない歌詞を乗せたオールド・スタイルのダンス・ナンバー、4.は かつての荒井由美を連想させる静かなラヴ・バラード。
5.は一転してアップ・テンポのダンス・ナンバーだが、メロディは切ないマイナー調のメ ロディで原田徳子をフィーチャーした佳作。
6.はヒップ・ホップ調のイントロに藤原理恵のふざけたトークをかぶせてスタート。
"ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ、Do you know・・・"というサビのコーラスがオールド・ファ ッション。
静かなバラード7.、ダンス・ナンバー8.、ミドル・テンポの9.と続き、10.&11.は当時の最 新シングル。
シングル曲のコーマシャルな曲調と、それ以外の曲の凝った作りの対比が見事だ。

このアルバム以降も彼女たちは、シングル「25時のヴィーナス」「Party Time」 「小さな気絶 〜Saya Cinta Kamu〜」 、アルバム「So What 〜だからナニ〜」を発表して、コンスタントに活動を続ける。
しかし1996年にオリジナル・メンバーの藤原理恵、原田典子がグループを抜け、森洋子、 本杉美香の新メンバーが加わって代替わりしたあたりから、彼女たちの勢いは急速に衰え ていった。
第2期以降のC.C.ガールズの活動については、正直言ってあまり熱心に追いかけてはいなか ったのでうかつなことは書けないが、少なくとも第1期と違い充実した音楽活動の痕跡は 見当たらない。
グラビア、写真集、ビデオ、メンバーをバラしての旅番組等、ありがちな使い方しかされ ていなかったような気がする。
確かにアイドルではあったかもしれないが、アーティストではなかった。
第1期C.C.ガールズは間違いなく「アーティスト」だった。
その後C.C.ガールズはメンバー・チェンジを重ねて行き、最後にはオリジナル・メンバー がひとりもいなくなり、2004年5月29日現在、オスカー・プロモーションのサイト内にはグ ループとしての紹介はない。

(文中敬称略)
<了>