挽き肉料理

 挽き肉(Hackfleisch)料理も数多くあるが、紛らわしいのは日本やアメリカでハンバーグと言われているものと、ドイツでハンブルク風ビーフステーキ(Hamburger Beefsteak)と呼ばれているものの違いである。後者は牛のもも肉の厚切りをバターで焼き、輪切りのタマネギをこんがり炒めて上にのせたもので、ハンバーグとは全く違う。ハンバーグに近いのは本来ベルリンの料理であるドイツ風ビーフステーキ(Deutsches Beefsteak)で、これは同じ牛のもも肉の挽き肉を刻みタマネギとともにバターで炒めたものに卵黄と生クリームを加え、塩、胡椒で味づけし、いわゆるハンバーグ風に平らに丸めてフライパンで焼いたものである。ドイツ風ビフテキと同様、炒めた輪切りのタマネギをのせる。

 さらに紛らわしいものに、これとよく似たフリカデル(Frikadelle)がある。アンチョビを混ぜたり、ブラートヴルスト(Bratwurst)の中身を混ぜるものなど、種類は様々だが、形はハンバーグと同じで、これにも炒めたタマネギをのせる。

 さらに、日本でも比較的知られている挽き肉料理にタルタル・ステーキ(Beefsteak Tartar)がある。細かく挽いた、しかも挽き立ての(時間がたつと変色して食欲を減退させる)上等の牛の生肉を木の板に盛り、上に浅いくぼみを作って卵黄をのせる。肉の回りに塩、黒胡椒、ケッパー、晒しタマネギのみじん切り、パセリ、粉末の赤唐辛子、アンチョビかニシンの身を添えておく。食べる時は薄切りの黒パンの上にバターを塗り、その上に肉と付け合わせを好みによって混ぜてのせ、ナイフとフォークで食べる。