ドイツ・ワインの生産地

 中世のワイン作りは農業技術の発達と並行して徐々に拡大し、その生産地も東はエルベ川流域、北はデンマーク南部でも生産され、生産量も特に15世紀から16世紀には一人当りの年間消費量が現在の5倍に達したと言われている。

 今日では、ワイン生産の北限はアール川の少し北に位置するかつての首都ボンの対岸のケーニヒスヴィンターである。自然のままの栽培方法ではこのような北方の地での葡萄栽培は本来不可能だが、その秘密は切り立った川岸の北ないし東北斜面を使い、直射日光に加えて川面に反射する太陽光線のエネルギーも利用するという、地形を巧みに利用した栽培技術にある(写真はモーゼル川の東北斜面)。またこの地域は石炭の生産地であるルール地方に近く、石炭とともに掘り出されるスレートはもう一つの秘密である。つまり熱をよく吸収し、また保温性の高いスレートを砕いて土に混ぜることで、太陽の恵を三重に利用しているのである。もちろん、急斜面の利用は機械化を妨げるためコスト高につながるが、逆に細心の気配りがドイツ・ワインの繊細な味わいを生み出している。



 ドイツ・ワインの生産地域(Anbaugebiet)は次の13地域がワイン法で決められている。

2006.12.08 更新