ドイツ・ワインの最大の特徴の第二は、上質ワインの場合に品種(Rebsorte)が特定されており、それがラベルに記載されていることである。(ワイン法のページのラベル参照。そこにはWEISSER BURGUNDERと記してあるが、この品種は下記のワイスブルグンダーと同じ。)
ドイツ・ワインの生産量の80%は白ワインで、その味と香りなどを基本的に左右するのが葡萄の品種である。
ミュラー=トゥルガウ(Müller-Thurgau)
リースリングに比べて早熟で、作付け面積はドイツで最大。スイス人のミュラー=トゥルガウが1880年にリースリングと次のジルヴァーナーを交配させて作った新種。フレッシュで芳香も十分あり、マイルド(mild)なワイン。長期の貯蔵は難しい。
ジルヴァーナー(Silvaner)
1665年に上部フランケンのエープラッハのシトー会の修道院長がドイツにもたらし、現在ではフランケン、ラインヘッセン、ラインプファルツなどで栽培。マイルドで飲みやすく、悪酔いすることがないため愛飲され、かつてはドイツ全土でしかも最大の作付け面積を誇っていたが、最近では前二者に追い越されている。これも長くは寝かせられない。
ルーレンダー(Ruländer)
ルーラントというシュパイアーの商人が1711年にフランスのブルグンド(ブルゴーニュ)から持ち込んだとされ、名前の由来はそこにあるが、最近ではむしろ原種のpinot grisに即してグラウアー・ブルグンダー(Grauer Burgunder)と呼ばれている。(pinotはブルゴーニュで主に栽培されている品種。grisは灰色という意味だが、葡萄に関しては白と薄赤の中間の意。但し、正確にはルーレンダーとグラウアー・ブルグンダーは全く同じではない。上の〈ルーレンダー〉をクリックすると、そこにこの点に関する記述がある。)主としてバーデンで栽培され、特にカイザーシュトゥールのものは逸品。蜂蜜色をした重いワインで、酸が少なく火のよう(feurig)で非常に高貴(hochedel)という形容詞がつけられている。
ヴァイスブルグンダー(Weißburgunder)
14世紀に発見されたグラウアー・ブルグンダーの突然変異で、フランス名はpinot blanc。これも主としてバーデンで栽培される。少し酸味が強いが、繊細な香りを持った比較的軽いワインで、魚などの軽い食事、特に白アスパラガスの料理に適している。
ショイレーベ(Scheurebe)
アルツアイの葡萄栽培監督官ショイによってジルヴァーナーとリースリングをかけ合わせて作られた(Rebeは葡萄の意)。晩熟型で高級ワイン用。フルーティーで力強く(kraftig)、酸味がすばらしい。
モリオ=ムスカート(Morio-Muskat)
ペーター・モリオという人がジルヴァーナーとヴァイサー・ブルグンダー(Pinot blanc)種をかけ合わせて作った新種。早熟で収穫量が多い。酸とアルコールが少ないが力強く、低級ワインのブレンド用。
ケルナー(Kerner)
最近の新種開発の傑作で、赤のトロリンガーとリースリングをかけ合わせたもの。ヴュルテンベルクの特産で土壌を選ばない。フレッシュでのど越しがよく、マスカットの香りがする。
ゲヴュルツトラミーナー(Gewürztraminer)
Gewürz は香料の意味で、独特の香りをもつことを示し、重く、アルコール分に富む。フランスのアルザスおよびドイツではバーデンの特産。
グートエーデル(Gutedel)
トルコ原産のものがブルゴーニュにもたらされ、ドイツではバーデンのマルクグレーフラーラントで作られている。これで作ったワインは並酒だが、軽くてのど越しがよく、身体に残らない。